そもそも、いくら日銀が年間80兆円のお金を刷ろうとも、消費者がモノを買わなければ経済が回っていかないのは当然だ。では、デフレ脱却を加速させるために必要なことは何か。真壁氏は「企業の変革」を促す。
「日本経済が停滞したのは、デフレのせいではなく企業のイノベーションが廃れたから。過去20年間で新しい技術といえばハイブリッドカーぐらいで、掃除機ひとつをとってもダイソン製や『ルンバ』といった海外勢に人気を奪われています。
かつてソニーがウォークマンやハンディカムを次々と開発したように、これまでなかった新たな“メイド・イン・ジャパン”の製品が続々と生み出されれば、消費者も景気の良さを実感するでしょうし、心理的に『買いたい』という気分になるはずです。
日銀の金融政策は単なる“痛み止め”に過ぎず、日本経済が風邪を引かないように体力をつける成長戦略のクスリではありません。人工的に貨幣価値を下げるようなインフレ策はかえってリスクを高めるだけです」
業績回復によって果たした賃金アップや設備投資などのコスト増を、どれだけ思い切って製品・サービス価格に転嫁できるか。企業の「自信」が真のデフレ脱却に向けたカギを握っている。