高卒で活躍する田中将大と大卒で結果が出せてない斎藤佑樹を比較すれば、確かにマーくんのほうが華やかです。しかし、自分の限界を知っていたとすれば、長期的に見ると佑ちゃんのほうがクレバーだ、と考えることもできるのかもしれません(いやいや佑ちゃんもこれから絶対ブレイクしてくれると思ってます)。
そもそも僕がプロ野球選手の年俸に興味を持ったのは、1983年の巨人。江川(卓)と西本(聖)のオフの契約更改でした。この席上で西本投手は「江川さんより高い年俸を!」と主張したのです。野球選手が自分の給料のことでチームメイトと張り合う。ああ、野球選手って「年俸」にプライドが、かかっているんだなぁ、と初めてわかりました。野球選手を選択したことにより、一般人の何生分もの賃金を稼ぐ選手は、います。もちろん、それにはるかに及ばない人もいる。たとえ稼いだとしても、使い果たして引退後はカネに困る人もいる。
またセカンドキャリアに就くとしても見切りが早かったために、その後の人生ははるかに稼ぐ人もいる。僕は、プロ野球まで行った人が一般企業に再就職するとしたら、案外、売り手市場だとは思いますが……。
僕は思うんです。引退後、貯金で何年も食って行ける人は絶対少ないはずだ、と。ほとんどの選手が「セカンドキャリア」が重要になってくる。球団スタッフに六大学出身者が多いと言いましたが、それは〝学閥〟という事もあるかもしれませんが、現役中から“人間”を見られているという側面のほうが強い。結局、最後は「人間力を磨いている“意識”の高い人が強い」と思うんです。
※SAPIO2015年8月号