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公安調査庁が暴露恐れる 元キャリア職員が小説家転身の理由

〈東京都千代田区霞ヶ関一丁目一番一号。一度聞けば忘れない住所に所在するのは世に知られるところの法務省。その庁舎の六階から九階には(中略)部署名を記す表札が存在しない〉

 こんな文章で始まる『キノコ煮込みに秘密のスパイスを』という小説が7月末、ネット上に公開された。

 主人公はその“謎”のフロアに陣取る公安調査庁の職員。公安はテロリストなどから国民を守る機関だ。そこを舞台にした小説に、公安調査庁が頭を悩ませている。同庁関係者が話す。

「公安の人事制度や協力者獲得工作が詳細に書かれていることから、作者は最近、公安を退職した元キャリア職員と見られている。あのスノーデンのように、内部情報の暴露を始めるのではないかと心配している」

 スノーデン氏といえば、アメリカの国家安全保障局の元職員で、現在も秘密を暴露し続けている人物だ。彼によって米政府の違法な情報収集が明るみに出て、オバマ政権は批判を浴びた。

 実際、同小説内には、

〈俺の所属する二―三(調査第二部第三部門)は“マルセ”を担当している。マルセとは「某国とその在日組織の双方」を指す〉

〈俺は監視・尾行の任に就いている。公安庁ではこうした監視や尾行などの業務を総称して“作業”という。そして作業のターゲットを“マルタイ”と呼ぶ〉

 などと関係者でないと知り得ない情報が記されている。秘匿性の高い情報を扱う部署だけに、当局が神経を尖らせるのも無理はない。

 しかし、公安業務に関する描写だけでなく、17歳の妹との仲睦まじい日常なども書かれている。作者に聞くと、自身が国際テロを専門とする元公安キャリアであることを認めた上でこう述べた。

「小説家になったのは、面白いと思うスパイ小説がなかったから。これ以上はノーコメント」

 いわゆるオタク向けのライトノベルにも思える“問題作”を発表する作者は、日本のスノーデンとなるか。

※週刊ポスト2015年9月4日号

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