劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「拳を使うのを我慢しているんじゃないか」「日本に間違いを認めさせているんだ」「超カッコイイ」──中国共産党の機関誌、人民日報系の現地SNSには賞賛のコメントが並ぶ。
11月18日午後2時頃、台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁を巡り、日本外務省の金井正彰アジア大洋州局長と中国外務省の劉勁松(りゅう・けいしょう)アジア局長の協議が行われた。中国中央テレビ(CCTV)系列のSNSアカウント「玉淵譚天(Yuyuan tantian)」に掲載された20秒ほどの映像では、協議終了後に金井氏と劉氏が外務省のエレベーターから一緒に出てくる様子が映っている。
劉氏の話にエレベーターの外で熱心に耳を傾ける金井氏。胸に国章をあしらった「五四運動(注:1919年に発生した抗日、反帝国主義を掲げる学生運動)の青年服」を身につけた劉氏は、ポケットに両手を突っ込み、険しい表情で立っていた。
金井氏と数言交わした後、劉氏は退席を促した。記者から会談に満足しているかと問われると、劉氏は軽く首を横に振り、「もちろん満足していない」と率直に答え、日中会談の雰囲気は「真剣なものだった」と述べた──。
いまこの動画が拡散され、日中高官の対照的な態度がアジア圏の多くのメディアが取り上げ、話題となっている。大手紙国際部記者が解説する。
「日中局長協議を通じて、両国の緊張状態が打開へ進むことが望まれていました。ただ、協議において劉氏は高市首相の発言を直ちに撤回するよう求めるも、金井氏がそれを拒否。また、金井氏側は中国の薛剣(せつ・けん)駐大阪総領事のSNS投稿について適切な対応を求めるなど、応酬が続きました。議論は平行線のままで、日中関係の冷え込みは長期化の恐れが指摘されています」
