国際情報

趙紫陽元総書記「総書記の仕事は長老使い走りだった」と述懐

 1989年6月の天安門事件で失脚した趙紫陽・元中国共産党総書記(2005年に死去)がまだ現役の総書記時代、「最高実力者」と呼ばれた改革派のトウ小平氏や、保守派でトウ氏同様、政治的な影響力が強かった陳雲・元党政治局常務委員ら老指導者らの指示に振り回されて、政策などの調整が難航するなど「総書記は本当に大変な仕事だった」と述懐していたことが分かった。

 米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」が新刊『趙紫陽の秘密』の内容として報じた。

 それによると、趙氏が総書記だった当時、陳氏が趙氏に「重要な問題があるので、党幹部の会議を開いてほしい」と言ってきた。当時は「長老指導者がたくさん残っていた」こともあって、趙氏の一存で会議の開催を決定できず、トウ氏に「陳同志から会議を開くように言われました」と相談したという。

 トウ氏は「会議を開くには及ばない。何か問題点があれば、私に聞けば良いのだ」とにべもなく陳氏の要請を断った。

 会議を開かずにいると、陳氏が趙氏に「なぜ、会議を開かないのだ」と詰問してきた。趙氏は「私は単なる秘書長みたいなものですから、会議を開くかどうかは、あなたとトウ小平同志で相談してみてくれませんか」と返答した。

 これに対して、陳氏は「お前は単なる秘書なのか」と呆れたような言葉を返されたという。

 また、もう一人の長老指導者、李先念・元国家主席は趙氏とトウ氏が親しいことについて、「趙紫陽はトウ小平にへつらってばかりいる。何かあると、トウ小平と相談して、他の人には相談しようとしない」と述べて、他の老指導者の前で趙氏を公然と批判してきたこともあったという。

 これについて、趙氏は「2人の長老指導者でも大変なのに、3人もいれば、もっと大変だ。本当に総書記の職をこなすのは難しい」と思わず愚痴が出たというのだ。

 このような長老指導者と趙氏の確執が徐々に大きくなり、次第に収拾がつかなくなる中、1989年の天安門事件当時の民主化運動で、趙氏の学生への対応などめぐって、長老指導者の怒りが爆発し、トウ氏を巻き込んでの政治問題に発展。最終的に、トウ氏も他の長老らの意見を聞き入れないわけにはいかず、趙氏の失脚につながったという。

 ネット上では「このような例は毛沢東と劉少奇の間にもあった。中国共産党には民主的な解決方法や西側の政治的な成熟性はないので、いったん対立すれば命の取り合いに発展することも少なくない。権力闘争は、まさに共産党のもつ宿命ともいえる」との書き込みが際立っている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
ジャンボな夢を叶えた西郷真央(時事通信フォト)
【米メジャー大会制覇】女子ゴルフ・西郷真央“イップス”に苦しんだ絶不調期を救った「師匠・ジャンボ尾崎の言葉」
週刊ポスト
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン