シャープは10月よりカンパニー制を敷き、液晶事業のほか〈(白物)家電〉〈太陽電池〉〈事務機器〉〈電子部品〉の計5部門に組織を分け、収益向上を目指すことにしている。
中でも白物家電は売り上げの1割程度と規模こそ大きくないものの、空気清浄器の『プラズマクラスター』、水蒸気オーブンレンジ『ヘルシオ』など斬新なアイデアでシェアを保持する製品は多い。前出の安田氏もこんな見方をする。
「1990年代に打ち出したキャッチコピー、『目の付け所がシャープでしょ』の精神に立ち返り、白物家電で会社を回していくのは手だと思います。隠れたオンリーワン商品もたくさんありますし、日本は人口が減っても世帯数は急激に減らないので、1世帯1台の白物家電が伸びる余地はまだあります」
一方、月刊BOSSの関氏は、不正会計問題が尾を引き、インドネシアの工場や中国の販売会社など次々と白物家電の売却を進める東芝を引き合いに、こんな“奇策”を提案する。
「シャープにしても東芝にしても白物家電の売り上げだけで会社の窮地を救うのは至難の技。ならば、液晶事業で複数のメーカーが連合体をつくったように、白物版で“日の丸家電”が手を結んで生き残りを模索してもいいと思います。下手に海外メーカーと組んで技術が流出するのも防げますしね」
なりふり構わぬリストラで、社名まで売り払うことになれば元も子もないはずだ。