同社は2015年の成長率は2.8%、2016年はわずか1%にとどまるという予測も出している。中国政府が今年の通年目標とする成長率7%の半分にも達しない数字だ。前出の高橋氏は独自の試算から「中国経済の実態はさらに悪い」と指摘する。
「『李克強指数』の元データ自体、国家統計局が出している数字なので改ざんされている疑いが強い。私が注目するのは、相手国があるために粉飾しにくい貿易統計です。輸入額を見ると、中国の今年1~9月は昨年に比べて15%減でした。
実はリーマン・ショックの後、アメリカも同様に輸入が15%減少した。その時のアメリカの実質GDP成長率は前年比マイナス3%になっていました。状況が似通っているため、現在の中国の成長率は前年比マイナス3%程度と考えてもおかしくない」
なんとすでにマイナス成長に突入したというのだ。中国の故事で白髪が三千丈(約9300m)になった老人の逸話から転じ、著しい誇張表現を「白髪三千丈」というが、成長率の粉飾ぶりはその言葉が相応しい。それでも「7%を割った」と公表せざるを得なかったのは、習近平政権がいよいよ追い込まれたからだと前出の高橋氏は指摘する。
「ウソをつき続けてきた中国もついに7%割れを認めざるを得なくなった。面子を何より気にする中国政府があえてそれを発表したのは、実体経済と経済指標の乖離がいよいよ誤魔化せなくなったからでしょう」
※週刊ポスト2015年11月6日号