「肝臓には豊富なリンパ流があり、肝内胆管がんは胃がんや大腸がんよりはるかにリンパ節に転移しやすいため、発見したら即手術する必要があります。4か月も放置したら、リンパ節転移を待っているようなものです。この病気はそれほどまでにリンパ節転移に対する慎重な扱いが求められるのに、そこを無視してラジオ波焼灼術をすすめるなどナンセンスです。焼いた方がいいという根拠はどこにあるのか。個人の主観を患者に押しつけてはいけないのです」(大場医師)
そして、近藤医師とは真逆の観点から、川島は治せた可能性が高いと主張する。
「過密な仕事や主治医とのコミュニケーション不足もあったのでしょうが、もし近藤先生の意見に賛同したために手術が遅れたのなら、非常に残念なことです。ステージIIという早期で発見されながら、半年近く“放置”したことで治るチャンスを逸してしまった。最善の情報と医師にたどり着いていれば、彼女は今も元気に舞台に立っていたかもしれません」(大場医師)
ひとつのがんを巡っても、これだけ別の見方がある。両者の意見の衝突が、よりよいがん治療法を確立するための礎となることを祈るばかりである。がん患者を救いたい──その想いは、共通している。
※女性セブン2015年11月19日号