山下:先生の欲求のためにやるのは体罰になっちゃう。でも殴り方にもよると思うし、ぼくは親に殴られたことがあるけど、愛情で殴られると、子供はわかると思います。
――体罰についての是非についてはよく議論になります。
山下:ぼくの経験談で言えば、親に殴られた時は、自分がしたことがいけないことなんだということがわかった。不必要に殴られてないから変な育ち方はしていないと思うし。人として良いことか悪いことなのか、道徳的なものも含めて、社会で生きていく上でルールというものを、親があらゆる方法でちゃんと教えてくれた気がするんです。
今はそういうことを、子供の頃に教えていないから、大人になって子供への接し方がわからなくなって、ストレスで子供を殴ってる人もいる。ぼくらが子供の頃は、親が子供を虐待して殺害してしまうという悲惨な事件はあまりなかった。社会のルールは学校ではなくて、家でしっかりと教えないといけないと思います。
――山下さんは、厳しい指導を受けたことはありますか?
山下:実は、サラリーマンを1年くらいやっていたんですよ。当時70年代で長髪が流行っていたんです。あるとき部長に「その髪を切らないと首にするぞ」と言われて、「俺の立場って、髪の毛で決まっちゃうんだ」って思ったんです。仕事を辞めると路頭に迷っちゃうし、役者をやりたい気持ちはあったけど、役者は食えないって聞いてたし。でも思い切って辞めました。えらい苦労しましたけど、それがなかったら、ぼくはここにいないよね。何がきっかけになるか、わかりませんよね。
――『着信御礼!ケータイ大喜利』(NHK)など、バラエティーのお仕事が増えていますね。
山下:バラエティーは出たとこ勝負なので、自分のダメさがよくわかるんです。落ち込んで帰ることもあります。すごい上がり症なので、ろくに喋れないことのほうが多いんです。言葉が続かないというか、理論的にものごとを言うのが得意じゃないんですよ。
それに、面白い事を言わないとダメなんですよね。お笑いの人たちってすごいなと思うし、負けないように頑張ってあがくほど、自己嫌悪に陥る(苦笑)。おとなしくすることにしても、やっぱり目立ちたいという気持ちがどこかにあって(笑い)。
――バラエティーの仕事で、驚いたことはありますか?