国内

介護保険料 地域により異なり最大3.1倍もの格差が広がっている

 鹿児島港からフェリーで3時間以上の場所にある人口わずか400人の村。竹島、硫黄島、黒島などから成り立つ鹿児島県三島村は、日本で最も「介護保険料」が安い自治体だ。村役場の担当者が言う。

「多くの村民が“いつまでも島で元気で暮らしたい”と健康維持につとめているので、介護が必要な高齢者が少なく、介護サービスにお金がかからないんです。離島なので介護事業所が少なく、三島村が提供する介護サービスは訪問介護だけ。それも介護保険料が安い理由でしょう」

 今、介護保険料の「地域格差」が注目されている。厚生労働省はこの10月中旬、介護保険料を全国比較できるオンラインシステムを導入し、地域による保険料の差を埋めるため、高い自治体に見直しを促す方針を決めた。

 2000年4月にスタートした「介護保険制度」の運営主体は市区町村。自治体から「要介護」「要支援」の認定を受けた65才以上を中心にさまざまな介護サービスが行われ、利用者は実際にかかる費用の1割(所得によっては2割)を負担するだけで済むという制度だ。

 その財源は、40才以上の国民が自治体に納める「介護保険料」と、国や都道府県の税金補助の折半だ。制度がスタートした当初、介護保険料は全国平均で月額2911円だった。ところが、しだいに高くなって、今年は5514円と倍近くまで増額した。

 7割以上の自治体で5000円を超え、夫婦2人ならば月に1万円以上の負担となる。しかも厚労省によれば、少子高齢化により保険料は10年後に平均8165円に達する見込みで、このままいけば「数年以内に月額1万円に達する自治体も出てくる」(厚労省関係者)という。

 現在、保険料が最も安いのは冒頭の三島村の2800円だ。最も高い奈良県天川村は8686円と、差額は6000円近い。実に3.1倍もの格差が広がっているのだ。なぜ介護保険料が地域により異なるのか。介護問題に詳しいケアタウン総合研究所所長の高室成幸氏が解説する。

「介護保険制度では3年ごとに市区町村が保険料を改訂します。単純にいえば、その自治体に介護が必要になった高齢者が多ければ多いほど、介護サービスの利用額も増えるわけで、それに応じて住民から集める保険料も上がるしくみです」

 今回、日本で最も保険料が高かった奈良県天川村は高齢者率が50%近い過疎の村だ。この村では介護施設の入所者が増加したことから、昨年度まで4849円だった保険料が一気に増加した。ちなみに保険料が全国2位(8003円)だった福島県飯舘村も高齢者が人口の半分近くを占めている。

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン