「急性膵炎は腹部を鈍器でえぐるような痛みが走るといわれます。以前、運転中に急性膵炎になった50代の患者が、あまりの痛みでハンドルを握れなくなり、交差点の真ん中で気を失って停車してしまったことがありました」(医師でジャーナリストの富家孝氏)
重篤な急性膵炎の場合、命を落とすこともある。医師の多くが「最も辛そう」と話すのががんの骨転移だ。
「骨の周りには神経が束になっていて、そこまでがん細胞が侵食すると、強い痛みを生じます。がん細胞が大きくなるとともに痛みも強くなる。ほんの少し体を動かしただけで、思わず声をあげてしまう方もいます」(医療ジャーナリストで医師の森田豊氏)
あまりの苦痛に「いっそ殺してくれ」と懇願する患者も少なくないという。緩和ケアで処方されるモルヒネの量では末期がんの骨転移には効かない場合が多い。かといって痛みを抑えるため多量のモルヒネを処方すると、昏睡状態に陥ることもある。いずれにせよ苦しみ悶えているのが「最期の記憶」になる。
※週刊ポスト2016年2月5日号