「もう20年先まで、この番組のためにスケジュール押さえてあるから。20年経ったら89歳? まあオレが生きてるかどうかわからないけど、この際、20年といわず30年。白寿までいっちゃう?」

 高田をじっと観察していると、単なるその場の思いつきに見える彼の軽口が、実は周囲への気遣いにあふれていることがわかる。

 例えば、大好きなハムカツを見つけると、「食べたい人、手を挙げて!」と必ずスタッフの分まで注文する。今回の取材では、書店の前を通るたびに、わざわざ本誌・『週刊ポスト』を手にし、「読むならコレだね」とアピールしてみせた。

 人気商売であるテレビタレントの社交辞令やヨイショには、時に露骨さや計算高さがつきまとうものだ。

 ところが高田純次には、そういうイヤラシサがない。誰にでも分け隔てなく、無理なく気を遣うのだ。実際、カメラが回っていようがいまいが、高田純次の行動はほとんど変わらない。ロケ先で高田に話しかけられた人たちは一様に、「テレビで見たとおりの面白いおじさんだった」と感想をもらした。彼は「地の自分」を『じゅん散歩』で見せているのだ。

◆たかだ・じゅんじ/1947年1月21日、東京都生まれ。東京デザイナー学院卒業。1971年、劇団「自由劇場」の研究生となり、1年後イッセー尾形らと劇団を結成するも解散。4年間の宝石デザイナーを経て、1977年に「劇団東京乾電池」に入る。1985年『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)に出演し、人気は全国区となる。

取材・文■角山祥道 撮影■樂滿直城

※週刊ポスト2016年2月26日号

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