有機ELはライバルのサムスンやLG電子といった韓国電機メーカーも「次世代の世界標準規格」と見定めているため、熾烈な開発競争が予想されている。
鴻海はシャープに投じる成長資金の約半分を、有機ELパネル開発など液晶部門に回すと見られている。郭氏はライバルに勝つためにシャープの技術力が必要なだけなのだ。
鴻海にしゃぶり尽くされるのではないかという危機感が募るシャープ社内では、社員が“脱走”を始めているという。ジャーナリストの片山修氏が語る。
「かつての“技術のシャープ”を支えた優秀な技術者の多くは、すでにパナソニックやサムスンなどに移っています。おまけに鴻海に買収されることでシャープは本当に再建できるのかと、社員の多くが未来図を描けず不安だけを募らせている。今のシャープは技術力も士気も衰えた沈没寸前の状態です」
※週刊ポスト2016年3月18日号