国内

暴力団とずぶずぶの「危ないデカ」が続々と現場復帰

 山口組が「六代目山口組」と「神戸山口組」に分裂してから約半年、両者の衝突が急速に激化するなか、ついに警察は殺し合いを待たずに「抗争」と認定した。そんな中、警察にも異変がおきているという。フリーライター・鈴木智彦氏が指摘する。

 * * *
 警察にはセクト主義という大問題がある。日本のシステムは自治体警察で、警察官は各都道府県が管轄する地方公務員なのだ。警察庁はあくまで省庁だから、実際の取り締まりはそれぞれの警察組織に一任される。暴力団が広域化し、全国のあちこちで事件を起こすというのに、捜査はそれぞれの地方の警察がバラバラに管轄するのだから、暴力団のほうが先進的ともいえる。

 警視庁と神奈川県警、大阪府警と兵庫県警、福岡県警と佐賀県警など、隣接する県警同士に強烈な縄張り意識が存在する。当然、地元警察が事件を仕切る。暴力団はこのぎくしゃくした人間関係を巧みに利用する。

「それぞれの県警にS(スパイの隠語)がいる。自分たちの所轄のことは教えてくれなくても、他の捜査情報なら教えてくれる。警視庁は神奈川県警から情報が抜けるので、暴力団事犯は連携できないと思っているらしい。我々にとっていい警官は、見返りをくれる人間」(神戸山口組幹部)

 警察が暴力団取り締まりを重要視し、内部情報を探ろうとすれば、暴力団はその見返りを要求する。

 たとえばある県警は、かつて暴力団に取り込まれた刑事の汚職が表面化し、ずぶずぶの関係にあった人間を現場から遠ざけた。しかし、背に腹は替えられず、閑職に追い込んだ刑事を現場に戻しているという。

「暴力団との癒着がうるさく言われるようになったあとも、情報をとってくる能力のある刑事は、他団体の書状の現物をその日のうちに入手する。でもそんな刑事は全国でも何人かしかいない。どの警察も自分たちの管轄で遅れをとれば不名誉になる。情報収集能力があっても警察のネタを漏らしてしまう“危ないデカ”があちこちで戻って来ている」(山口組幹部)

 暴力団たちは冷静に警察を観察している。

 とはいえ、ヤクザは決して国家権力には勝てない。警察がメンツを潰されれば、最終手段を講じてくる。幹部たちは微罪で収監され、誰かが長期刑という犠牲を払わされるだろう。

※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号

関連記事

トピックス

三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン