◆不審な素性の中国コンサル
ここで得体の知れない中国企業が登場する。仮にA社と呼ぼう。
2011年7月、OSZが工場の消防設備の不備を消防局から指摘されて問題になったとき、中国公安(警察)からA社を紹介された。A社はもともと建設や医薬事業、サービスや宿泊などの商業、コンサル業務などを手掛ける企業で、経営者が公安出身者で官公庁に顔が利くとのことだった。
A社は消防設備の問題が片付くと、在庫問題の解決を買って出た。
しかしAで社はこれまで中国紙で贈賄事件に関わったことが報じられるなど、問題含みであったうえ、OSZがコンサル契約を交わしたA社傘下のB社は、登記上の住所に郵便物を送っても「宛先に該当なし」として返送されてきてしまうなど、どの程度実体を伴っているのか判然としない(報告書には「素性に不審な点があるコンサルタント」とある)。OSZ内でも「A社が反社会的勢力(であるかどうかの)チェック疑惑にひっかかった」との情報がメールでやり取りされたこともあった。
A社がどんな方法を用いたのか弁護士の調査は及んでいないが、数百億円に上る恐れさえあった罰金はゼロに抑えられた。OSZからA社側に支払われた報酬は2400万元(約3億6000万円)である。