事前に「自民党圧勝」と報じられた参院選だったが、その結果分析から見えてくるのは、「安倍首相応援は勝率1割以下」「首都決戦は自公敗北」など自民党一強支配の“終わりの始まり”を示すデータばかりだった。さらに安倍自民にとって脅威なのが民進党と共産党の選挙協力だ。
「衆参ダブル選挙を打っていたらそれこそ全滅でした」
自民党北海道連の幹部は安倍首相にそう報告した。参院北海道選挙区の政党別得票を道内12の衆院小選挙区別に集計すると、10選挙区で民進党と共産党の合計得票が自民党と公明党の合計を上回っていたのである。
仮に、安倍首相が衆参ダブル選挙に踏み切り、衆院選で民共協力が行なわれていた場合、自民党は2勝10敗と大敗を喫していたという計算になる。そうした現象は北海道だけにはとどまらない。
本誌は前々号で、自民党が291議席と圧勝した2014年総選挙の各党得票をもとに、共産党が候補者を立てずに民進党と選挙協力した場合の獲得議席をシミュレーションした。結果は、54選挙区で与野党の得票が逆転し、自民党は238議席と過半数を割り込むというものだ。公明党も1議席減だった。
志位和夫・共産党委員長は参院選での民共協力が成果を上げたことから、「野党共闘の最初のチャレンジとしては大きな成功と言っていい。衆院選では発展させていきたい」と次の総選挙での民共協力に意欲を見せている。
現在、自民党は公明党との選挙協力で本来の集票力以上の議席を得ているが、支持率が低い民進党でも、共産党票という“下駄”を履けば自民の優位は一気にひっくり返される状況にある。
参院選では東北や北海道、そして東京など大都市圏の有権者が「驕り」の見える安倍自民党離れを起こし始めていることがハッキリした。大勝に浮かれるお祭り騒ぎの裏で、「自民大敗の日」が迫っている。
※週刊ポスト2016年8月5日号