高須:でも、大使館経由でお金を振り込むには、大統領やら政府の許可が必要だっていうんだよ。時間があればそれでもいいんだけど、オリンピックはすぐに終わっちゃう。その段階では準決勝のドイツ戦の前で、できればその試合までにお金を渡して選手のモチベーションを上げたかったんだよ。だから、もう自分で現地に行って直接渡すしかないな、ってことになった。それなら絶対に中抜きもされないし、現地で勇敢な選手たちにも会えるかもしれないしね。
──残念ながらドイツには負けてしまいましたが、3位決定戦のホンジュラス戦はブラジルで観戦したんですよね?
高須:空港では駐ブラジルのナイジェリア大使がお出迎えしてくれて、専属の警官隊に守られながらスタジアムに行ったよ。警官のバイクが先導する装甲車に乗ってね。ナイジェリア大使だけじゃなくて、ナイジェリアのスポーツ大臣もいっしょにいて、すごいVIP扱いになっちゃって。でも、そうやって一大事になってくれてたことが、選手たちの励みになってくれたら嬉しいなっていう気持ちもあった。せっかくの支援なんだから、できるだけオープンにやりたい。そうすればおかしなお金の動きもなくなるよ。
──そして、試合はナイジェリアの勝利。見事銅メダルを獲得しました。
高須:試合後は、選手みんなに会えたんだよ。いやあ、嬉しかったなあ。監督のシアシアに20万ドルを渡して、キャプテンのミケルに選手全員の銅メダルの報奨金合計19万ドルを直接小切手で手渡した。選手たちにスピーチもさせてもらったんだけど、みんな死闘の後だったから、ちょっと疲れてたかな(笑い)。あとは、選手みんなといっしょに「Yes! 高須クリニック」もやったよ。みんな明るくて、すごくいい青年たちばかりだったなあ。あと、仲が悪かったシアシア監督とスポーツ大臣に握手もさせた(笑い)。これで、今後政府とかサッカー協会がもっとチームを支援してくれるんだといいけどね。
──それにしても、ツイッターでの宣言から実際に選手たちに支援金を渡すまで、ものすごい展開でしたね。
高須:SNSの力ってものを感じたよ。それにやっぱり、支援するって言っただけで実現しなかった、っていうのがいちばんイヤだったから、どうにかしてオリンピックが終わるまでに届けないとっていう気持ちも強かった。周りの人々もすごく協力してくれて、本当に嬉しかったな。いやあ、タニマチ冥利につきるとは、まさにこのことだよ(笑い)。
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とんでもないフットワークの軽さで、ナイジェリアチームへの支援を実現させた高須院長。院長のツイッターやブログでは、選手たちとともに撮影した写真も公開されているが、なんとも印象的な笑顔ばかりとなっている。
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)、『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)など。