打者として出場した19試合でホームラン9本、打率4割1分5厘と驚異的な結果を残す。全19本塁打のうち半分近い9本をソフトバンクから打っている。『プロ野球なんでもランキング』の著者でライターの広尾晃氏が語る。
「大谷がホームランを放った投手は和田毅、千賀滉大、バンデンハーク、東浜巨、中田賢一、岩嵜翔など主戦級。いかに勝利への貢献度が高いかがわかる。球場別でもヤフオクドームでの成績がズバ抜けていて、7試合3本塁打、打率5割2分4厘と打ちまくり、本拠地・札幌ドームでの打率3割3分9厘を大きく上回る。明らかに相性がいい」
投手としてもソフトバンクに立ちはだかる。シーズン途中に右手中指のマメが潰れた影響もあり、登板回数自体が少ないが、ソフトバンク戦には3試合登板し、1勝0敗、防御率1.74という好成績。チームも大谷が投げた試合は2勝1敗と勝ち越している。
打者・大谷がソフトバンク投手陣をカモにする理由について、かつてソフトバンクでコーチを務めた野球評論家の杉本正氏は、「直球への対応力」を指摘する。
「ソフトバンクには球が速く、真っすぐで勝負する投手が多いが、スイングが速い大谷は力負けせず、しっかりと打ち返して長打にできる。スイングスピードで横浜の筒香(嘉智)に匹敵し、さらに柔らかさを加えた大谷は、いまや12球団で最も攻めにくい選手になった」
前出・山崎氏は技術面の向上に加えて、「メンタル面の強さ」を挙げる。
「顔にはあまり出さないが、“ソフトバンクには絶対に負けられない”という内に秘めた気持ちが非常に強い。上位のチームに向かっていく気構えが強く、凡打でも全力疾走する姿はチームに活力を与えている」
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2016年9月9日号