アメリカの劣化は、リーダーの劣化に象徴される。共和党候補ドナルド・トランプの暴言癖は今に始まったことではないが、8月には「バラク・オバマとヒラリー・クリントンがISを創設した」と発言して問題になった。批判の声が寄せられると、発言を撤回したものの「発言を曲解したメディアが悪い」と責任転嫁する始末だ。トランプは、イラクで戦死したイスラム教徒のアメリカ人戦没者遺族を中傷する発言をして、大きな批判を浴びたばかりだ。
共和党では、大統領選を前に「トランプ不支持」の声が広がっている。あまりの素養のなさに、ようやく「トランプが大統領になってしまうのは危険だ」との認識を持つ者が増えてきたようだ。
副大統領候補とも言われた共和党の重鎮・ギングリッチ元下院議長は、「トランプ氏が今のやり方を続けていたら、大統領にはなれない」と言及。トランプと候補者指名を争った元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュも、ツイッターでトランプ批判を展開し始めた。
一方、民主党候補のヒラリーも、大統領になる資格はない。メール問題では、FBIがヒラリー本人を事情聴取して、結局訴追は見送ったものの、現在は国務省が水面下で必死に捜査を続けている。
もしヒラリーが大統領になったら、日本にも大きな影響がある。クリントン夫妻は、中国側から長年、多額の献金を受け取っていたことが明らかになっている。尖閣諸島を争って中国が戦争を仕掛けてきたときに、中国とベッタリの「ヒラリー大統領」はどう出るだろうか。それを考えると恐ろしい。