「長寿」と「短命」の分かれ道は?
健康長寿を実現できるかどうかはその人の食生活如何といっても過言ではないだろう。食生活でそんなに寿命が変わるのかと疑問を抱く人もいるかもしれないが、現実に分かれ道は存在している。
ここに食と寿命に関する興味深いデータがある。“長寿県”として知られ、厚労省が公表している「都道府県別 平均寿命ランキング」では常にトップクラスに位置してきた沖縄だったが、2010年の厚生労働省による平均寿命ランキングでは、男女とも長野県(男:80.88歳、女:87.18歳)にトップを奪われ、沖縄県は女性こそ87.02歳で3位にランキングされているが、男性は79.4歳の30位にまで急降下したのである。
自身も沖縄に住んでいたことがある福島県立医科大学(糖尿病内分泌代謝科学講座)の島袋充生主任教授は、その理由をこう解説する。
「沖縄では65歳未満の死亡率が高く、生活習慣病で、全国平均よりも10万人あたりで450人ほど多く亡くなっている。血管が詰まって起こる心筋梗塞や脳梗塞、脂肪性肝炎による肝臓病が死因となることが多いと分かりました。つまり、脂肪の摂り過ぎによる肥満が原因で平均寿命が下がっているということ。
なぜそうなったのかというと、米軍基地ができて日本で最も早くアメリカの食文化が入ってきたからと考えられます」
沖縄では、本土より早く、ハンバーガーなどの欧米型の食生活が入ってきた。食堂ではカツやフライ、ハンバークが1つのプレートに載った「Aランチ」が定番で、家で作るゴーヤチャンプルーも加工肉がメインで大量の油で炒めるものに変容した。県の肥満者の割合(10年)は、全国平均の26%を大幅に上回る4割強に達している。特に40~50代の男性の肥満者は増加傾向にあるという。