是正勧告についてはインターネットメディア『バズフィードジャパン』を始め、毎日、産経、日経などが相次いで報じたが、真っ先に情報を入手していたはずの朝日新聞はまさかの“特オチ”。各メディアの報道が出た翌日になってから「労基署、本社に是正勧告」とわずか240文字の小さなベタ記事を載せただけだった。
その後も、電通事件については14日に「過労死の四半世紀」と題した記事をオピニオン欄を全面使って展開している一方で、その翌日に発表した追加の社内調査結果については、またしても小さなベタ記事なのである。
この落差には朝日社内でも疑問の声があがった。本誌が入手した朝日労組が実施した組合員アンケートの回答には、〈電通以上のブラック企業だ〉〈電通問題を胸を張って追及できなくなった〉〈本来であれば会社が率先して外部公表する内容の事案だ〉といった辛辣な言葉が並んでいる。
朝日は報道が遅れたことについて、「是正勧告について社内で検討し、10日付朝刊の掲載に至りました」(広報部)とした上で、「弊社は現在、ワーク・ライフ・バランスの推進を重要な経営課題として掲げ、時短に取り組んでおり、今回、長時間労働について是正勧告を受けたことを重く受け止めています。再発防止に努めるとともに、引き続き、時短を一層推進していきます」(同前)と回答した。
これを“天ツバ”と言う。
※週刊ポスト2017年1月1・6日号