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電通、自衛隊、貧困、介護 日本は不都合な真実だらけに

「ポスト真実」ってなんだ? 何やら只事ではなさそうな気配はあるが、具体的に何を指しているのか、反射的にはわからない。オックスフォード出版局の英文の解説を下手に私が読んで解釈するのはキケンなので、日本語の報道に頼ると、次のようなことだという。

<英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票や、トランプ氏が勝利した米大統領選の選挙運動の過程で使用頻度が急増したという。「ポスト真実の政治」などの形で使われ、真実や事実よりも個人の感情や信念が重視される米英の政治文化や風潮を表現していると評価された>(「産経ニュース」より)

 真実や事実よりも個人の感情や信念が重視される、そんなヤバい時代に突入した、というふうに欧米人たちの多くは思っているのか?

 実際にどれだけの数の欧米人がその認識を共有しているのかは知らない。でも、「金」や「神ってる」よりも、含意がいろいろありそうな「今年の言葉」であることは確かだ。ちゃんと頭で考えて選んだ重みがある。

 ここで誤解してほしくないのは、言葉が「政治」に関係しているからハイレベルだとか、深い意味があるとか、そんなふうに私が感じているわけでは決してないことだ。

 だって、「今年の漢字」で「金」を選んだ日本人たちの多くも、その理由に都知事の政治資金問題や東京五輪の巨額経費問題など「政治」の問題を挙げているのだから。だが、その認識は、どうも薄っぺらい。「結局、金の問題でしょ?」みたいな方へ行って終わってしまう。それですぐ分かった気になる我々の性分も些か問題なのではないだろうか。

 欧米で「ポスト真実」なら、日本では「オープン真実」が目立った2016年という見方もできるはずだ。

 1月にSMAPの謎の謝罪会見、8月にSMAPメンバーから日本国民への謝罪文の公表、そして年末にメンバーの誰も解散理由を口にしないで1分半の90度おじぎを地上波放送したという異様な2016年。

 この一連の騒動を通じ、たくさんの日本人が、芸能界で機能している理不尽な労使関係を感じずにはいられなかった。たかが芸能界の話では片づけられない、気持ちの悪い自分らの社会の恥部をさらされた感触。SMAPロスとか、そんな小さな話ではなく、この国ってやっぱり何か間違っているよね、と感じない人は相当鈍感だといえる社会問題である。これまでタブーとされ、不可視だった問題がいよいよ明らかになったのだ。

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