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電通、自衛隊、貧困、介護 日本は不都合な真実だらけに

 労使問題では、2015年のクリスマスの日に自殺をした新入社員の問題をめぐって、労働基準法違反の疑いで捜査をされ、幹部ら約10人が書類送検、石井直社長が辞任表明した電通の件もある。1991年にも男性社員が過労死した「電通問題」を起こしていた会社だが、当時はここまで大きく取り上げられることはなかった。

 電通はマスコミ界の集金装置であり、その暗部に触れることはタブーだったからである。それが、今年はネットを中心にものすごく騒がれた。なんだかんだ言って「超一流企業」と思われていた電通も、「超A級ブラック企業」とでも呼べそうなイメージに反転した。

 まだ「事件」にはなっていないが、南スーダンへの自衛隊派遣も「オープン真実」のひとつだと私は思っている。憲法で交戦権が認められていないのに、敵と命を賭けて戦わざるを得なくなった自衛隊員たち。彼らはなんのためにほぼ丸腰状態で戦闘地域へ飛ばされなきゃいけないのか。それは軍事について、戦後の日本人が思考ストップしてきたからだと思う。

 自衛隊という違憲なのに巨大な組織を放置してきた結果、今すぐにでも、派遣隊員の誰かが戦闘で殺されたり、人を殺したりということが高確率で起こりえる事態を招いてしまった。ウソにムリを重ねた日本の「真実」が、具体的な悲劇で明らかにされようとしている。

 他にも、この国では、子供や女性をはじめとした貧困問題、ヒトもカネもまったく足りない介護問題などが明らかになってきている。臭いものに被せてきたフタが劣化して壊れ、割れ目から腐臭が噴き出している。

 大晦日の貴重なひとときに申し訳ないが、不都合な真実がいよいよ隠し切れなくなったのが、2016年だったのではないか。まず、現実を正視する必要性を突きつけられた一年。私はそうだったと思っている。

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