2016年11月、世界200か国の非感染症疾患について調査する科学者ネットワーク『NCD-RisC』が発表したデータによれば、血圧が「正常範囲(上140mmHg/下90mmHg)」を超えた高血圧有病率の割合は韓国が最も低い。ちなみに同調査で日本は8位だった。
辛いキムチを愛し、タバコも吸うし、酒もよく飲む──日本で一般的な韓国人のイメージからすると意外に思うかもしれない。だが、韓国では近年、国をあげた健康推進運動に余念がない。
2010年には、国民に塩分を抑えた食生活を呼びかける「減塩キャンペーン」を大々的に展開。5年間で国民の塩分摂取量は19%減少したという。産経新聞ソウル駐在客員論説委員・黒田勝弘氏が言う。
「減塩だけではありません。韓国では近年、肥満予防や禁煙を呼びかける官製キャンペーンが繰り返し行なわれています。目的は日本同様、増加する医療費の削減ですが、その影響もあって韓国人の健康意識は年々急速に高まっています」
韓国統計庁(2014年)が発表した「日韓比較データ」によれば、韓国人男性の喫煙率は43.3%、女性は3.3%だ。日本人男性の32.2%、女性8.5%に比べると男性はやや高い。だが、20年前の韓国人男性の喫煙率は66.3%(1998年、日本人男性は当時55%)だったことを考えると、大きく減少していると言える。
※週刊ポスト2017年6月2日号