とはいえ、「便通を改善したいからビフィズス菌ばかりを摂ろう」など、特定の菌に偏って摂るのはおすすめできないと、貴家さんは続ける。あらゆる菌を摂り入れた方が腸内環境にはいいのだ。
例えばある実験で、腸内に1種類だけ菌を入れた腸と、17種類の菌を入れた腸を比較したところ、後者だけ、免疫が活性化されることがわかった。
つまり菌は、チームプレーで活躍している。さまざまな菌がお互いを刺激し、サポートすることで、腸内にいい影響をもたらせている。だからこそ、いろんな種類を毎日摂ることが大切なのだ。
◆多様な腸内細菌を摂取できる糞便移植療法
しかし、乳児期に摂り入れた常在菌の種類の少なさや食習慣などにより、どうしても多様な菌が摂取できず、潰瘍性大腸炎などに悩まされる人も多い。
そうした病気を、多様な腸内細菌が含まれた健康な人の便を移植することで治療する方法が、2014年以降、日本の一部の大学病院で行われ、注目されている。
これは、「糞便移植療法」と呼ばれ、健康な人の便を医療用生理食塩水に溶いてろ過し、液体の方を注射器に取って患者の大腸内に内視鏡などで注入するというもの。確実に腸内環境を改善できると、欧米では2013年から肥満治療などに応用されてきた。日本ではまだまだ新しい治療法のため、今後が期待されている。
※女性セブン2017年7月13日号