軍は安全保障という国の運命の根幹を担う一方で、戦争になったら人を殺す存在であり、リスペクトと抑制や監視の双方が必要です。であるからこそ、憲法にはシビリアン・コントロール(文民統制)を強める観点から、開戦は国会の権限とすることや、殺人行為を前提とした軍事法廷の設置なども書き込むべきです。

 日本人の誇りである平和憲法は、同時に日本の自立を阻む象徴です。「我々日本人は憲法9条があるから平和的です」という思い込みは、時に国際社会への無関心にもつながってきました。戦後の平和主義が実は単なる利己主義でしかなかった場合も多かったのです。

 戦後70年、日本は米国に守られてきました。ところが、東アジアの緊張が高まる中で、米国の力や意思を今まで通りに頼りにできるのか。安全保障はイデオロギーや願望で語ってはいけません。どこまでも冷徹に危険を精査し、万が一に備えるという考え方をとらなければいけません。

 9条2項を削除して、自衛隊を陽の当たる場所に誘うことこそ、この先の日本が歩むべき道なのです。

※SAPIO2017年8月号

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