逆に言えば、リーダーになる人材を育てようと思ったら、採用する時に「発見」して「選択」し、入社したその日からリーダーになるためのトレーニングをしなければならない。だから、サイバーエージェントの新卒社長制度は評価に値するのだ。
社長を務めるということは、人事も経理も企画も営業も広報も自分でやらなければならない。自分の給料も他人の給料も決めなければならない。そうした重責を担う社長業を新入社員の頃から4~5年もやれば、30歳になる前に本当の社長になれるだけの知識と経験とリーダーシップを身につけることができるのだ。
21世紀はAIやビッグデータ、IoT(モノのインターネット)の時代だと言われているが、本質的な「良い会社」の条件は、あくまでも優秀な人材を「発見」して「選択」し、その能力を最大限に発揮させる人事制度があるかどうか、なのだ。人事部が有名大学の卒業生を大量に採ってきたと自慢しているようでは、“尖った個人”が新しい領地を開拓する21世紀に生き残っていくことはできないだろう。
※SAPIO2017年8月号