危機に陥った時、強引に幕引きを図ろうとする姿勢も変わっていない。政治ジャーナリストの野上忠興氏が指摘する。
「10年前は、支持率が低下する中で、憲法改正手続きの国民投票法や学校教育法を強行採決する強気の政権運営を行なって、国民の信を一挙に失いました。
加計問題で窮地に立たされた現在の安倍首相は、国民の批判のホコ先をかわすために憲法改正に突き進み、第1次政権でサラリーマンの批判を浴びて導入に失敗した残業代ゼロ法案まで臨時国会に提出する構えです。10年前と全く同じ道を辿っている」
こうした動きは、さらなる党内反乱の火種を生み出している。
自民党には党内最大勢力である「魔の2回生」など安倍政権下で当選した1~2回生が約120人を占める。安倍首相はそうした“安倍チルドレン”の多くは自分を支持すると思い込んでいるようだが、反主流派議員は魔の2回生こそが安倍降ろしの中核になると予告する。
「衆院の残り任期は1年半を切り、彼らは逆風下で戦わなければならない次の選挙に不安を募らせている。安倍政権の支持率がさらに下がれば、落選の危機に直面した魔の2回生たちは“安倍首相では選挙を戦えない”と必ず反旗を翻す」
最近は、ストレスによる「検査入院説」も流れた。安倍チルドレンの造反が先か、10年前のように安倍首相がストレスで体調を悪化させるのが先か、いよいよ政権の寿命が見えてきた。
※週刊ポスト2017年8月4日号