結婚後、現在の珍宝館横に食堂を開く。店は繁盛しマスターの趣味だった「珍品」を店内に飾るようになった。そして夫婦で“いつか珍宝館を開こう”と語り合い、1981年に珍宝館を設立。そこで語り部スタイルを始めた。

「愛するマスターが愛でる珍品を解説するんだからフツーにやってもつまんない。私を変えてくれた先輩やスナック時代のトークの経験、それに時事ネタを交えて解説するとお客さんが笑ってくれて嬉しかったね。

 物珍しさが受けて開業以降、大繁盛したよ。地元から白い目で見られることもあったけど、商売は儲けてナンボ。周辺に珍宝館を真似して現代風の秘宝館みたいなのも数年前にできたけど、うちの展示品は唯一無二だから。でも最近はテレビに出た影響で若者客が増えて何回も解説をするから喉にきてね……」

 と、意外にも弱気な本音も見せた。受付で働くマスターとの関係についても聞いた。

「マスターは5年前に大腸がんの手術をして生死をさまよったから、無理させられない(笑い)。けど死ぬまでセックスしたい気持ちと行動が人間を豊かにするんだよ」

 取材当日の朝、珍宝館の建物の前に陰部を露出させた20代の若者が無言でポツンと立っていたという。ちんこ館長は「大きくなったかい」と声をかけると、若者は無言のまま帰ったという。ちんこ館長は今日も群馬で男たちを待っている──。

※週刊ポスト2017年8月11日号

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