影響は主要都市の位置付けにとどまらない。江戸幕府は地方分権の性格が色濃かった。幕府が勝っていれば、300諸侯が温存され地方行政は各藩に委任というスタイルが続いていたはずだ。明治維新によって生まれた47都道府県は、律令国家の66か国の組み合わせを基本としながら人為的な線引きの要素も強い。典型は大阪府だ。摂津国の一部、和泉国、河内国を人為的に合併した経緯から、今でも旧国でのカラーの違いは根強く、府としての一体性は乏しい。

 藩のほうが県に比べて規模感が生活圏に近く、お国柄と行政単位がより密接になる。県民性をネタにしたバラエティー番組は「秘密の藩民SHOW」と看板を掛け代えて、もっと実感に近い形で放送されていただろう。

【PROFILE】1983年大阪市生まれ。東京大学法学部卒。2008年4月外務省入省後、北京大学、ロンドン大学に留学し中国情勢分析などに携わる。2012年12月~2014年11月衆議院議員。現在、同志社大学嘱託講師、皇學館大学非常勤講師、桜美林大学客員研究員を務める。著書に『最後は孤立して自壊する中国 2017年習近平の中国』(石平氏との共著、ワック刊)がある。

※SAPIO2017年9月号

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