ボールがバットに当たれば、フライやゴロであっても“何か”が起こる可能性があるのに対し、3回バットに空を切らせれば、ほぼ確実にアウトになる。ただその一方でゴロやフライは1球で相手を仕留められるが、三振は最低3球を要する。昨今の先発投手に求められるのは、継続的な働きをするため、球数を少なくしてケガのリスクを下げることだ。則本もわかっている。
「でも、僕は昔の人の考え方が好きというか、根性野球に魅力を感じて野球を始めました。こういう時代だからこそ、熱投とかは貴重なもの。少ないところにアプローチしていくことで自分がまた輝けるような気がします。人と同じことはしたくないので」
◆のりもと・たかひろ/1990年滋賀県生まれ。三重中京大4年時の全日本大学野球選手権で20奪三振を記録。2012年ドラフト2位で楽天に入団し、史上3人目となる新人での開幕投手を務めた。15勝を挙げて新人王、チーム初の日本一に大きく貢献。2014年以降は3年連続でリーグ最多奪三振をマークしている。2017年には日本代表としてWBCに出場。4月19日の西武戦から8試合連続二桁奪三振の日本記録を樹立した。
●撮影/本誌・藤岡雅樹 取材・文/中島大輔
※週刊ポスト2017年9月29日号