「赤ちゃんの健康リスクです。当サイトに登録する実母は、20代前半が多く、病院の健診さえほとんどが受けていない。会員登録時に健診を受けてもらうことがスタートというくらい、自分の妊娠を管理できていない女性が多いんです。ゆえに、障害を持った赤ちゃんが生まれてくる可能性は否定できない。それでも受け入れますか、と問うた時、言葉を詰まらせるかたは、里親として不適格です」(阪口氏)

 どんな子であろうとも受け入れる、という“絶対的な愛”がなければ、里親は務まらないのだと言う。

 里親希望者とスタッフの面談は基本的にこの1回だけ。マッチングが成立すれば、赤ちゃんの引き渡しとなる。実母が妊娠中の場合、出産・退院を経て対面するが、引き渡しの場所は、実母と里親の都合さえ合えばどこでも可。これまで病院のロビー、ファミレス、最寄りの駅などで引き渡しが行われてきた。

「だいたい30分程度で終了します。実母と里親が揃って写真を撮ったケースもあった。それ以降は養子縁組が成立するまでの間、月に1度、当方に赤ちゃんの成長過程を知らせてもらいます」(阪口氏)

 里親はその後、特別養子縁組の法的手続きを進め、概ね引き渡しから半年後には養子縁組が成立するという。以降は「里親」ではなく正式に「戸籍の上の親」となる。登録からマッチング、出産、引き渡しまで、実母に金銭的な負担はない。

「里親がすべて出す決まりです。実母の出産前後の生活費や健診代、入院費やその他諸費用でだいたい100万円。加えてわれわれNPOの運営費として50万円。特別養子縁組のための弁護士費用で20万円。すべて合わせて200万円ほどになります」(阪口氏)

 この金銭授受があるからこそ、「これは人身売買ではないのか」と、インターネット赤ちゃんポストには非難が集中する。

※女性セブン2017年10月12日号

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