2014年に開設されたインターネット赤ちゃんポストの主な目的は極めてシンプル。「わが子を養子に出したい母親」と「里親になりたい人」をマッチングさせること。同サイトを運営するNPO法人『全国おやこ福祉支援センター』(大阪市)の代表、阪口源太氏が語る。

「やむを得ない理由で子供を育てられなくなった親と、病気や年齢などの理由で妊娠できず、養子を欲する人のマッチングを行う。いわゆる養子縁組の斡旋事業です。予期せぬ妊娠をした親に対する相談業務や、子育て支援も行っています」

 サイトの利用方法は簡単だ。わが子を養子に出したい母親は、まずサイト上で専用のマッチングアプリ「こうのとり」の会員登録を行う。Eメールアドレスを登録し、パスワードを設定すればログインできる。登録には年齢も国籍も問われない。本人確認が取れ次第、スタッフが面談し、「子供を里親に出します」という覚書を交わす。

 里親希望者も登録の仕方は同様だが、月額3000円の利用料がかかる。また登録の際、住所、年齢、職業、資格、年収、貯蓄金額など約70項目の記入が必要となる。会員登録した里親希望者は、募集がかけられた赤ちゃんの詳細な情報を閲覧することができる。

「里親登録に年齢制限はありません。ただし、新生児の斡旋はご夫婦のどちらかが49才まで。2、3才児の斡旋の場合は50才以上でも可能です。現在、里親希望の登録をされているかたは270人ほど。設立から現在まで延べ1000人ほどの里親希望のかたにご登録いただいています」(阪口氏)

 赤ちゃん1人につき30組以上の里親希望者が手を挙げるという同サイト。超高倍率の世界だが、選定はどのように行われるのか。

「会員登録時に記入していただいた項目を、運営側が独自にポイントに換算し、数字が高いほどマッチングの可能性が高まる仕組みです。最終的に3~5組程度に絞り込んで、その後は家庭訪問で面接を行い、最適な里親を選考します」(阪口氏)

 面接の際に重視するのは、里親希望者の熱意だという。

「子育ては夫婦で行うもの。どちらか一方が強く希望しているケースはダメです。里親であれば避けて通れない『真実告知』(養子である事実を子供に伝えること)についても問います。人はいつか自分の出自について知る時が来るし、知る権利がある。当方では早めに伝えることを推奨していますが、答えのある問題ではない。あくまでこの問題についてどれだけ真剣に考えているか、という点を見ます」(阪口氏)

 インターネット赤ちゃんポストを利用する実母は、妊娠中であることがほとんどだという。赤ちゃんが母親の胎内にいる時点でマッチングが行われるため、避けられない問題が生まれてくる。

◆“絶対的な愛”が必要

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