ちなみに当時の佐川氏の虚偽答弁を見ると、あの嘘は咄嗟についたものではなく、準備された嘘であるように思える。というのも、前もって言うことを準備していると、視線はあちこちに向かず、まっすぐに前を見つめて嘘をつくことができるからだ。
話を麻生氏の会見に戻そう。大臣としての監督責任については、「残念、残念、誠に残念。誠に申し訳ない」と答えた。繰り返された「残念」という言葉から、麻生氏本人も裏切られた、騙された、悔しいという思いを強く持っているように見える。だから会見冒頭、財務相や理財局という言葉に反応し足踏みしたのだ。
書き換えの背景に「やはり政治家や政治への忖度が働いたのか?」との問いには、眉を上げて大きく目を見開くと、今度は身体を前後左右に微妙に揺らした。YESでもNOでもない微妙な揺れから、忖度という一言で片づけられない何かが、そこにはあったのではないだろうか。
尊大で態度が悪いと会見には批判が集中、辞任を求める声が高まっているが、麻生氏を安倍内閣の防波堤とする見方もあるらしい。放り出して辞任するより「原因の究明と再発防止」に努めると明言したものの、あのぶっきらぼうで冷ややかな会見からは、財務相への未練は感じられない。「安倍首相」という名前に足踏みを始めたら、要注意だろう。