1960年代の高度経済成長期に、日本の自動車保有数は一気に増加しました。しかし、道路の整備はまだまだ発展途上。さらに、その道路を作るお金もありません。そのために、「一時的に道路を作るお金を、自動車を使っている人から集めよう」と作られたのが道路特定財源でした。
具体的には、自動車重量税、自動車取得税、ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)、軽油引取税、石油ガス税です。しかも、最初に決められた額から、途中で額が2倍ほどに増やされました。それは「道路整備を急ぐため」というのが理由であったため、暫定的なものでした。つまり、整備が一段落すれば、本来は元の安い額に戻すという話だったのです。
ところが、一度上がったものは下がることはなかったのです。また、ガソリン料金には、ガソリン税に消費税をかけるという二重課税の問題も生まれました。
そして2009年に驚くべき税制改革が行われます。道路特定財源の一般財源化です。「道路を作るため」に集めた税金を、国の全体の予算に統合するというもの。つまり「道路を作るため」というお題目がなくなってしまったのです。
ところが、自動車ユーザーに課せられた税は、そのまま維持。暫定税率がいつのまにかうやむやになっただけでなく、「何のために支払うのか」という理由さえ反故にされてしまったのです。これをでたらめと言わずに、何をでたらめと言えばいいのでしょうか。
右肩上がりに収入が増え、イケイケだった高度経済成長期に作られたのが自動車の税の仕組みです。作られた当時は、世相にフィットしていたかもしれませんが、40年以上の時間が流れ、世の中は大きく様変わりしました。集金システムだけが古いまま残ったと言えるでしょう。
景気が良い時代であれば我慢もできたかもしれませんが、懐事情の厳しい昨今では、もういいかげんに勘弁してほしいと思うのが正直なところ。「若者のクルマ離れ」を防ぎたいなら、税システムの改正から手をつけるべきなんじゃないでしょうか。