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強豪校運動部やスポーツクラブ 熱中症対策のポイント

真夏に運動をするときの対策は?

 猛暑のニュースになると、必ず「なるべく外出は控えて涼しい部屋で過ごしてください」という呼びかけがされます。とはいえ、毎日の積み重ねが大事なスポーツに取り組んでいる人にとっては、猛暑でも練習を続けたいもの。趣味でスポーツを楽しんでいる人も同じかもしれません。身の安全を守りつつトレーニングを続けるための工夫について、スポーツライターの小野哲史さんが、暑さで知られる群馬県のランニングクラブなどの取り組みについてレポートします。

 * * *
 本格的な夏の到来とともに、ニュースや天気予報では、「熱中症」に関する事故や対策の注意喚起に接する機会が増えてきました。

 すでに広く知られているように、熱中症とは、私たちの身体が高温多湿な環境下に適応できず、めまいやけいれん、倦怠感や気分の悪さといったさまざまな形で生じる症状の総称です。深刻になると、命に関わるケースもあります。亡くなる方の多くは体力が低下した高齢者ですが、10代の子どもや若者の学校での熱中症死亡事故も、現在も年に数件のペースで発生しています。

 阪神甲子園球場で行われる全国高校野球選手権大会は、いまや日本の夏の風物詩とも言えるビッグイベントです。“夏の甲子園”だけでなく、中学生の全国中学校体育大会(全中)や高校生の全国高校総合体育大会(インターハイ)といった各競技の全国大会も、夏真っ盛りの7月から8月に開催されます。日本人は厳しい条件の中で選手たちが奮闘する姿に感動を覚える気質があります。しかし、外国人から見ると、炎天下の酷暑の中でスポーツをするなんてクレイジー以外の何ものでもない、と映るようです。

 日本スポーツ協会では、「熱中症予防のための運動指針」で、気温が35度を超えた日の運動は原則禁止とうたっています。とはいえ、たとえば運動部の部活動で試合が迫っている生徒さんや、趣味のスポーツであっても自分の競技力を少しでも向上させたいと真面目に取り組んでいる方にとっては、「暑いから運動は禁止」という原則を守ることが難しいのも事実です。

 そこで紹介したいのが、高校の部活動の強豪チームや街のスポーツクラブが取り組んでいる熱中症対策です。一般的に呼びかけられていること以外に、さまざまな工夫をしながら酷暑での練習をこなしていることがわかります。日頃からスポーツに励む方や炎天下でスポーツ観戦をするという方はもちろん、スポーツとはあまり縁がない方でも、熱中症対策のヒントになるはずです。

 群馬・高崎市で、子どもや大人を対象にランニング全般を指導している上州アスリートクラブでは、子どもの日曜日クラスは、夏休み期間中(7月後半~8月)限定でサマータイム制を導入しています。学年ごとに通常は13時30分、15時、16時30分に始まる時間を、暑さを避けるためにそれぞれ 16時、17時、18時30分に変更しているのです。同クラブの白水正昭理事長は、その狙いについて、「夕方は気温が下がる時間帯ですし、夏休み期間なので終了時間が多少遅くなってもよいかなと。保護者のみなさんにもご了解をいただいています」と説明します。

 他にも、体操や動き作りなどの基本動作の練習は屋内で行う。休憩は木陰の下などを利用し、こまめ過ぎるほどの給水を心がける。やむを得ず炎天下での練習になってもできるだけ簡潔に短時間で終わらせる。市販の塩飴を配布する。万が一に備えて、AED(自動体外式除細動器)などの救急道具を常備する、といった工夫を施し、全国にも暑いことで知られる群馬県ならではの熱中症に気を遣った取り組みがうかがえます。

「何事も『命』にまさるものはありません。私たち上州アスリートクラブも『子どもたちの安全』が大前提であり、練習の成果や練習効率は二の次と考えています。群馬の夏はとくに暑いですから、熱中症対策はやり過ぎるくらいでちょうどいいと捉えています」(白水理事長)

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