働き方改革の本質は業務量や業務プロセスの見直しによる仕事の効率化と生産性向上にある。管理職のマネジメントを含めた業務の改善や業務量に見合う人員の補充なしに早期退社を促しても、心身ともに充実した“プレミアムな生活”を過ごすことなどできない。
そうした本質的な対策を抜きにした“時短”であれば、月曜日の午後出勤のシャイニングマンデーもプレ金と同じ運命をたどることになるだろう。
じつは政府主導の似たようなキャンペーンは他にもある。昨年の7月24日に実施された「テレワーク・デイ」もその一つだ。
在宅勤務などのテレワークは本来働き方改革の一環であるが、実際の目的は2020年の東京オリンピックの開会式当日の交通機関の混雑緩和を図ることにある。当日は922の企業・団体が参加し、事務局はテレワーク・デイについてオリンピックを契機に全国的にテレワークの普及と働き改革のレガシーにすると謳う。
だが、参加企業を見ると在宅勤務のシステムを販売する情報通信会社やサテライトオフィスを提供する不動産関連会社などテレワーク関連サービス業が目立った。商機にあやかりたい企業が多いという点ではプレ金と同じである。
今年も7月24日から「2018テレワーク・デイズ」という名前で実施された。始業から10時30分まで一斉に テレワーク(在宅勤務、モバイル勤務、サテライトオフィス勤務)を実施するというものだ。
しかし、本来のテレワークは生産性の向上や個人の成果を促すのが目的だ。始業時間の9時から10時半までのわずか1時間30分だけテレワークをして、その後は会社に出勤しなさいと言っても、そんな中途半端な施策でとても生産性が上がるとは思えない。