プロのアスリートにしてみれば、東京五輪で活躍することももちろん重要な名誉なのだろうけど、できるだけ長く現役を続けて、できるだけたくさんのお金を稼ぐことは何よりも優先させるべきことだからね。選手生命を大きく削るかもしれない東京五輪をエスケープするアスリートも多いはず。それは東京五輪にとってはデメリットでしかないよ。
東京五輪に関しては与党に対する批判もあるけど、いちばん良くないのは猛暑の中で開催して、最悪の結果が出てしまうこと。それよりは、キャンセル料を支払ってでも、開催時期を秋にずらしたほうがいい。そのほうが政権も長続きすると思うね。
──その一方で東京五輪をきっかけに到来するプチバブルもすぐにはじけてしまうのではないかとの見方もありますね。
高須:ホテルなんかの建設ラッシュはあるから、まあ不動産関連はそれなりに景気もいいんだろうけど、バブルは長続きしないだろうね。瞬間的に都心部の土地が値上がりしても、その揺り戻しも早いと思うよ。東京五輪のプチバブルも単なるカンフル剤みたいなもので、実際に景気が上向くわけでもないしね。
そもそも「人口は増えるのに土地は増えない」というところから、土地の価値は上がり続けるという神話ができてバブル経済になったんだよ。それが今は人口がどんどん減っていくんだから、土地の価値も下がっていくわけだ。それでバブル経済は成り立たない。借金をしてまで土地を買う時代ではないんだよ。いくら東京五輪で景気が良くなると言われても、冷静であるべきだと思うね。
もちろん東京五輪が盛り上がるのはいいのだけれど、1964年とは全く状況も違うわけで、これを機に世の中が変わっていくとか、そういうものではないんだな。成熟した国である日本だからこそ実現できる、余裕のあるオリンピックを楽しみたいところだね。
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猛暑のリスクを回避するために、東京五輪は10月にずらすべきだと主張する高須院長。たしかに炎天下の中で競技したところで、最高のパフォーマンスが見られる可能性も低いだろう。手遅れになる前に、開催時期変更という英断もありなのかもしれない。
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子氏との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)、『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)、『行ったり来たり 僕の札束』(小学館)、『ダーリンは71歳・高須帝国より愛をこめて』(小学館)、『炎上上等』(扶桑社新書)、『かっちゃんねる Yes! 高須 降臨!』(悟空出版)など。最新刊は『大炎上』(扶桑社新書)。