国内

中島博之弁護士「私が漫画村問題を追及する理由」

「読者も作者を応援する気持ちを忘れずにいて欲しい」と中島博之弁護士

 2018年の検索語上位として記録された「漫画村」は、漫画の海賊版サイトの代表的存在として国会でも取り上げられるほど大きな社会問題となりました。各方面の専門家が問題視するなか、漫画村運営の実態が少しずつ明るみに出始めています。漫画家のたまきちひろさんの依頼を受けて、漫画村問題の追及を続けている中島博之弁護士が、海賊版サイトの問題点について解説しました。

 * * *
 漫画村で漫画を読むことの何が悪いのか?という声が未だに聞かれます。著作権侵害が著しいサービスを利用することは、本来、作者が受け取る報酬を奪い、報酬が得られなければ仕事としての漫画が成り立たず、漫画家は仕事を続けられなくなります。もし、そうなったら、私たちは新しい漫画を読めない世界で暮らさねばならないかもしれません。そんな世の中にはしたくないと考える漫画家のたまきちひろ先生と立ち上がり、漫画村の運営者の責任を追及するために、法律家として動いています。

 漫画村の運営者が、著作権法などの法律を守っていないことは、明らかです。日本という国は、法律というルールを守ることで皆が暮らしている社会なのですから、法律の専門家として、この状態は見過ごせません。運営者は、法を守らなかった刑事責任を負うべきだと考えていますし、民事でも責任を負うべきだと思います。

 たまき先生は、このまま海賊版問題を放置すると、漫画そのものがなくなってしまうかもしれないという危機感を持って、漫画村の問題に取り組んでいます。法律家ではありますが、私自身も漫画のない未来はやってきて欲しくないと考えています。漫画がない人生なんて、想像がつきません。

 実家には手塚治虫作品が全巻そろっていましたので、『ブラックジャック』をはじめとした手塚漫画は繰り返し読みました。漫画雑誌では『コミックボンボン』を小学生のときに愛読していたのですが、大人になって、廃刊した(※2017年に休刊、2017年からWEB漫画として再開)と知ったときはショックでした。掲載誌が休刊してしまった神堂潤先生の『redEyes』も好きな漫画ですが、一年に一回くらい単行本が出版されるので、見逃さずに読み続けています。最近は『封神演義』の藤崎竜先生が描いている『銀河英雄伝説』の漫画連載が楽しみです。

 他にも漫画を描くことを諦めなかった、ひよどり祥子先生の『死人の声をきくがよい』も好きです。過去に自費出版を行うなど厳しい時期があったそうなのですが、それでも自分の作風を信じて描き続けて今がある先生で、そういう人は、やはり応援したいですね。

 そんなふうに、漫画を読み続けていると、まだ知らない、面白い漫画に出会えます。でも、もし漫画村のような海賊版サイトを放置してしまったら……。漫画を描き続けてくれる漫画家さんがいなくなり、新しい漫画との出会いがなくなってしまうでしょう。

 海賊版サイトの運営は、人の著作物を勝手に使っているのですから、やはり悪意があると言わざるを得ません。もちろん、その運営をできないようにすることが根本的な解決となりますが、やはり、読むだけの利用者にも少し考えて欲しいことがあります。

 自分ひとりくらい盗み見ても問題ない、と思ってはいませんか? 同じように自分だけなら問題ないだろうという人が何万人、何百万人、何千万人と広がったら……。本来なら、作品を読んでもらうことで作者が得ていたはずの報酬が、無関係の他人に渡ります。作者には一円も入りません。そういう大問題を海賊版サイト、とくに漫画村は起こしました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
退職した尾車親方(元大関・琴風)
尾車親方、相撲協会“電撃退職”のウラで何が…「佐渡ヶ嶽理事長」誕生を目指して影響力残す狙いか
週刊ポスト
5月13日、公職選挙法違反の疑いで家宅捜索を受けた黒川邦彦代表(45)と根本良輔幹事長(29)
《つばさの党にガサ入れ》「捕まらないでしょ」黒川敦彦代表らが CIA音頭に続き5股不倫ヤジ…活動家の「逮捕への覚悟」
NEWSポストセブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
女性セブン
AKB48の元メンバー・篠田麻里子(ドラマ公式Xより)
【完全復帰へ一直線】不倫妻役の体当たり演技で話題の篠田麻里子 ベージュニットで登場した渋谷の夜
NEWSポストセブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン