フェイスブックとグーグルはメディアを、アップルは通話・通信を支配した。アマゾンは小売業界の支配に事実上、成功している。この快進撃を支えたのは、AI技術を中心とするテクノロジーだ。
多くの労働者の雇用創出ではなく、人々にとって何が求められていて、何を的確に与えられるのかを考え抜き、テクノロジーを駆使したサービスの最適化を推進してきた。そのビジネス戦略において、人員の省力化が進められるのは、まったくもって筋が通っている。
グローバル企業の側としては、ロボットが代わりにやってくれる仕事を、順序よく置き換えているだけだ。人の労働者がまだいるにはいるけれど、それは賃金が安いからだ。経営者の立場から見てロボットの方が安く導入できるのなら、躊躇なく取り変える。それをしなければ、経営者失格だ。まったく不合理はない。
◆ノーベル賞をAIが受賞する日がやってくる
日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズの共同調査によると、人が現在、携わっている約2000種類の仕事のうち、3割は「AIロボット」への置き換えが可能だと判明したという。日本に限定すると、製造・建設・運搬など従事者の多い仕事のうち、5割強の業務を、ロボットによって自動化できることも明らかになっている。
ホワイトカラーも安泰ではない。金融機関でも自動化の波は押し寄せていて、事務職ではファイル作成など6割以上の仕事をロボットに代替できる。2000年、米ゴールドマン・サックスでは600人いたトレーダーが株式売買の自動化システムに置き換わり、現在では数人がオフィスに残っているだけだという。