「最初は風呂なしアパートから少しずついい物件に移り住んでいき、そろそろ車でも買ってちょっといいブランドの服でも着て……なんて考えていたこともありました。でも、ある時、疑問に思ったんです。車とかマンションとか、本当に必要なのかって。
そこで、自分の成長を、高価なものを身にまとうことで誇示しようとしていたことに気づいたんです。結局、見栄だった。誰かが価値があると言い出して、みんながなんとなくそれに追従しているものにすぎない。誰かが認めた価値でなく、自分で価値を決めたいんです」(こしら氏、以下同)
自分で価値あるものだけを厳選していった結果、家を持たない生活にたどり着いた。
「成長の証はお金だと言いきれればいいけれど、そこに疑問を感じたんです。新しい武器を手に入れたか? 違う方法論を見つけられたか? そういうことを成長の尺度にするべきなんじゃないか。お金ではない価値を模索することが必要。そう考えるようになってから、仕事もお金で判断しないようにしました。自分が成長することを目的とした仕事選びをするようになったんです。すると、格段に自分のレベルアップを感じられるようになりました」
「金額の多寡で物事を判断していると、何かを見失う」──そのことに、こしら氏は気づいた。彼はいう。
「成長して手に入れた自分の力は、誰にも奪われることはない。お金なんて不安定な資産を築くよりよっぽど効率的ですよ」