ここ5年ほど、東京の都心や川崎市の一部はバブル的にマンション価格が高騰した。高騰した地域が限られるので、私はこの現象を「局地バブル」と呼んできた。
しかし、この局地バブルエリア以外の場所では、価格の上昇率はそれほどでもない。新築マンションの価格が建築費高騰のあおりを受けて上昇したのは事実である。土地の価格も少しは上った。新築市場につられて、中古マンションの価格も少し上がった。しかし、そのレベルは「少し」と言える程度。私の感覚では5年で2割も上ったかどうか。
一方、郊外エリアでの中古マンションの主要な需要層は、普通のサラリーマン。どちらかといえば中小企業へ勤める人々だろう。そういう方々の個人所得は増えていない。社会保障費や消費税等の上昇で、むしろ可処分所得は減っている。だから、マンションの価格だけが上がっても、買う側は付いてきていないのが現実なのだ。
特にここで紹介した3つのエリアは、中古マンションの供給が多いので、市場価格の形成は需要層側に主導権がある。だから今でも価格がお手頃水準にとどまっている。
都心でも、中古マンションの売り物件が増えている。今後、この3つのエリアのように市場価格形成の主導権を需要側が握るエリアは徐々に広がり、五輪後には山手線近辺まで迫るのではないかと予測する。
※当原稿で使用した大手不動産サイトのデータは2019年4月中旬のものです。