◆武漢、成都編
武漢の場合、到着したその日に三国志で最も有名な戦いの舞台「赤壁」まで行って宿泊。翌日は赤壁を見学してから武漢に戻り、呉の重臣であった魯粛の墓(衣冠塚)と関羽ゆかりの卓刀泉、劉備ゆかりの郊天壇などを見てまわるのがお薦め。帰国は直行便の時間に間に合わなければ上海乗り継ぎ便を利用すればよい。魯粛の墓のすぐ近くには曹操の騎馬像、そこから少し離れたところには孫堅(孫権の父)・孫策(孫権の兄)・孫権の3人そろっての銅像もある。
最後に成都である。ここでのお薦めは諸葛孔明を祀った武侯祠とその中にある劉備の墓(恵陵)である。中国では劉備が白帝城で亡くなったのが旧暦の4月24日、今の暦に直せば初夏にあたるため、恵陵に葬られたのは遺品のみで、遺体は成都まで運ばれる途中で葬られたとする説が強く、本当の陵墓を探す調査が今なお地道に続けられている。
武侯祠は中国全土にあわせて数十か所あるが、一番の聖地とされているのはやはり蜀の都のあった成都のそれで、孔明の墓のある漢中市勉県(陝西省)のものがそれに次ぐ。成都で三国志グッズを買いたければ、武侯祠に隣接する錦里(ジンリー)歩行街か、そこから少し離れた寛窄巷子(かんさくこうし)という通りがお薦め。夜はその日の演目が三国志であれば、川劇(せんげき)という地方劇を鑑賞するのもよいだろう。往路は直行便だが、帰りは時間的に上海か北京乗り継ぎ便での帰国になる。
どこを回るにもタクシーをチャーターするのが便利だが、不安な人は現地旅行社を通じて、ガイド兼ドライバーを雇う手もある。安さを選ぶか確実かつ効率のよさを選ぶかは各人の自由。思い思いの旅を楽しんでもらいたい。
【プロフィール】しまざき・すすむ/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。著書に『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『春秋戦国の英傑たち』(双葉社)、『眠れなくなるほど面白い 図解 孫子の兵法』(日本文芸社)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)、『いっきに読める史記』(PHPエディターズ・グループ)など多数。