2018年12月に開かれた「中国民衆法廷」第1回公聴会の様子(写真:Normann Bjorvand)

 民衆法廷とは、公式の国際機関が進んで調査できない深刻な犯罪行為などについて第三者が調査を行い、証拠に基づいて結論を下す独立した場のことである。法的な拘束力はないが国際的に大きな影響力を持つ。

 今回の民衆法廷では、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷でセルビアのスロボダン・ミロシェビッチ初代大統領を起訴したジェフリー・ナイス卿が議長となり、国際人権法や移植医療、中国史の専門家ら7人のスペシャリストが判事を務めた。

 中国民衆法廷の議題は、「中国での強制臓器収奪問題」だ。日本ではあまり報じられないが、以前より中国は、ウイグル族や法輪功の学習者といった「良心の囚人(不当に逮捕された無実の人々)」から強制的に奪った臓器を、利潤の高い国内での臓器移植手術に利用していると噂されていた。
 
 中国では公的なドナー登録者数をはるかに上回ると推定される臓器移植手術が行われることや、通常は数か月から数年を要する移植待機時間が数週間から最短で数時間とされることも、疑惑を裏づけた。中国政府は臓器収奪を否定しているが、実際に移植手術を行ったという医師やその関係者、調査報道を行ったジャーナリストらの告発が相次いでいる。

 膠着する議論に決着をつけるべくスタートした民衆法廷は、昨年12月から合計5日にわたる2回の公聴会で専門家や当事者ら50名の証言を調べた。

「法廷の場では、ウイグル人から臓器を摘出した経験を持つ元医師のエンバー・トフティ氏が実際に人体にメスをいれた時の様子を再現したり、北京で逮捕されたスウェーデン人が留置所で中国人看守から、『法輪功の学習者25人ほどを連行して処刑して臓器を取った』と聞いた話を暴露するなど、当事者のみが知る生々しい証言が続出しました」(鶴田さん)

 これらの証言を慎重に調べた民衆法廷の最終的な裁定が「中国では違法な臓器の収奪と移植がいまも続いている」との立証であり、「人道に対する犯罪」の“有罪判決”だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「夢みる光源氏」展を鑑賞される愛子さま
【9割賛成の調査結果も】女性天皇についての議論は膠着状態 結婚に関して身動きが取れない愛子さまが卒論に選んだ「生涯未婚の内親王」
女性セブン
勝負強さは健在のDeNA筒香嘉智(時事通信フォト)
DeNA筒香嘉智、日本復帰で即大活躍のウラにチームメイトの“粋な計らい” 主砲・牧秀悟が音頭を取った「チャラい歓迎」
週刊ポスト
『虎に翼』の公式Xより
ドラマ通が選ぶ「最高の弁護士ドラマ」ランキング 圧倒的1位は『リーガル・ハイ』、キャラクターの濃さも話の密度も圧倒的
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
撮影前には清掃員に“弟子入り”。終了後には太鼓判を押されたという(時事通信フォト)
《役所広司主演『PERFECT DAYS』でも注目》渋谷区が開催する「公衆トイレツアー」が人気、“おもてなし文化の象徴”と見立て企画が始まる
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン