芸能

つちやかおり 認知症の母の「延命治療」で出した結論

認知症母と延命治療について語ったつちや

 厚労省によれば、「死が近い場合に受けたい医療・療養」「受けたくない医療・療養」について、家族と話し合ったことがある人の割合は39.5%。半数以上が話し合ったことがなく、突如として親の最期の選択を迫られるケースも多い。認知症の母を持つ、つちやかおり(55才)もそのひとり。葛藤と苦悩、決断までの経緯を聞いた。

「気持ちの整理がついたので、お話しさせていただきます」。つちやは、こうゆっくりと口を開いた。

 7月3日、つちやは自身のブログで、

《「延命治療」って何だろう 母が食べ物を受け付けなくなっている このままの状態が続いて 何かあった時にどうするか… ホームから話がしたいと連絡がきた》

 と、母親の延命治療の選択を迫られたことを告白。その日の動揺を包み隠さず綴った内容に、読者から励ましや共感の声がたくさん寄せられていた。

 延命治療の選択は、介護現場で多くの家族が直面する深刻な問題だ。しかし実際には、介護者・治療者と家族の間でどのようなやり取りがなされるのかを知る機会は少ない。

──つちやは1979年にテレビドラマ『3年B組金八先生』(TBS系)でデビューすると、女優や歌手、グラビアなど幅広く活躍。そんな彼女の大きな支えになってきた母の玲子さんは、今年88才だ。2010年に認知症と診断され、2~3年前からは娘のこともわからなくなっている。介護保険制度では「要介護3」の認定を受け、5年前に東京近郊の認知症グループホームに入所、現在もそこで暮らしている。

 その母に対する今後の介護方針について大きな決断を求められたのは、突然のことだった。

「ホーム側から『お母さんのこれからのことで、お話がしたい』という話は以前から聞かされていたのですが、ある日、『玲子さん、全く食べなくなっています。このままの状態が続いた場合のことについて相談したい』と電話があったんです。これまでとは違う深刻なトーンに、胸騒ぎを覚えました。胸が締めつけられる思いで、ホームに向かったんです」(つちや・以下同)

 ホームに到着すると、母は入居者の共有スペースであるリビングにいた。車椅子を使っているものの、普段とさして変わらない様子につちやは胸をなでおろす。ところが──。

「そこでスタッフのかたの口から出たのが、『延命治療』という言葉だったのです。“これからのこと”が、まさか延命治療のことだとは想像もしていませんでした」

◆突然のことで頭が真っ白に

 事の経緯はこうだった。

 最近の玲子さんはどんどん食が細くなっている。食べ物を細かくするなど、工夫してもここ2~3日はほとんど食べていない状態で、このままでは胃ろうなど、管で直接栄養補給をする「経管栄養」も考えなければならない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

雅子さま、フレッシュグリーンのお召し物で全国植樹祭にご出席 未来を担う“幼苗”と緑風の笑顔
雅子さま、フレッシュグリーンのお召し物で全国植樹祭にご出席 未来を担う“幼苗”と緑風の笑顔
女性セブン
『EXPO 2025 大阪・関西万博』のプロデューサーも務める小橋賢児さん
《人気絶頂で姿を消した俳優・小橋賢児の現在》「すべてが嘘のように感じて」“新聞配達”“彼女からの三行半”引きこもり生活でわかったこと
NEWSポストセブン
NEWS7から姿を消した川崎アナ
《局内結婚報道も》NHK“エース候補”女子アナが「ニュース7」から姿を消した真相「社内トラブルで心が折れた」夫婦揃って“番組降板”の理由
NEWSポストセブン
奥田瑛二
映画『かくしごと』で認知症の老人を演じた奥田瑛二、俳優としての覚悟を語る「羞恥心、プライドはゼロ。ただ自尊心だけは持っている」
女性セブン
菅原一秀(首相官邸公式サイトより)と岡安弥生(セント・フォース公式サイトより)
《室井佑月はタワマンから家賃5万円ボロビルに》「政治家の妻になると仕事が激減する」で菅原一秀前議員と結婚した岡安弥生アナはどうなる?
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【厳戒態勢】「組長がついた餅を我先に口に」「樽酒は愛知の有名蔵元」六代目山口組機関紙でわかった「ハイブランド餅つき」の全容
NEWSポストセブン
今シーズンから4人体制に
《ロコ・ソラーレの功労者メンバーが電撃脱退》五輪メダル獲得に貢献のカーリング娘がチームを去った背景
NEWSポストセブン
真美子夫人とデコピンが観戦するためか
大谷翔平、巨額契約に盛り込まれた「ドジャースタジアムのスイートルーム1室確保」の条件、真美子夫人とデコピンが観戦するためか
女性セブン
「滝沢歌舞伎」でも9人での海外公演は叶わなかった
Snow Man、弾丸日程で“バルセロナ極秘集結”舞台裏 9人の強い直談判に応えてスケジュール調整、「新しい自分たちを見せたい」という決意
女性セブン
亡くなったシャニさん(本人のSNSより)
《黒ずんだネックレスが…》ハマスに連れ去られた22歳女性、両親のもとに戻ってきた「遺品」が発する“無言のメッセージ”
NEWSポストセブン
主犯の十枝内容疑者(左)共犯の市ノ渡容疑者(SNSより)
【青森密閉殺人】「いつも泣いている」被害者呼び出し役の女性共犯者は昼夜問わず子供4人のために働くシングルマザー「主犯と愛人関係ではありません」友人が明かす涙と後悔の日々
NEWSポストセブン
尾身茂氏は批評家・小林秀雄を愛読しているという
人知れず表舞台から退場したコロナ「専門家」 尾身茂氏が“奔流”のなかで指針とした「小林秀雄の一冊」
NEWSポストセブン