「2年前になりますが、織田さんに“コーチとしてもっとアドバイスしてほしい”と食い下がった学生と保護者がいました。自分の練習に力を入れてないがしろにされていると感じたようでした。その保護者にむかって織田さんは“このリンクはぼくと大ちゃん(高橋大輔選手・33才)のために作られた。きみはそのレベルにないです”と言った。この発言は発破をかけるというレベルのものではなく、波紋を呼びました」
織田への違和感を口にする保護者が多かったが、なかには彼への感謝を口にする保護者もいた。
「“トップにいきたいから教えてほしい”という教え子に、織田さんは熱い口調で“ぼくがちゃんと教えてあげるから”と話していたところを見たことがあります。確かに、いつも子供たちの側について教えてくれるわけではありませんでしたが、世界のトップで戦ってきた選手がその場にいることに意味があると思いました」
織田は2018年3月、あるイベントで「スケートの指導者になることがいちばんの目標」と言い、「(指導者としては)まるっきり(松岡)修造さんタイプ」「諦めない気持ちや努力することで乗り越えていける喜びを伝えてあげたい。心に訴えかけられる指導者になりたい」と熱く語っていた。
選手や保護者に対する厳しすぎるような言葉も、選手への熱い思いから出たものかもしれない。しかし、自らがモラハラ告発をする以上、保護者からの告発の真偽も含め、自身の発言への責任もしっかりとるべきだろう。織田をよく知るスケート関係者はこう話す。
「プロとしてアイスショーに出る以上は、相当な練習を積まなければいけない。一方で監督として選手の指導にも力を注ぎたい。難しい立場にあったのは事実だと思う。自分の思い通りにいかないことからくる焦りが、今回の騒動の根底にあったのかもしれません」
保護者たちの言い分について、織田はどう答えるのか。12月上旬、自宅から出てきた織田を直撃した。しかし、何を聞いても、「ごめんなさい、何もお答えできません」の一点張りだった。
一方、織田に1100万円の損害賠償を求められた濱田コーチはこう話す。
「弁護士と対応を協議しているところなので、今はお話しできません。しかし、近いうちに必ず私の方からきちんとお話しさせていただきます」
フィギュアスケートシーズン真っ只中の争いは、氷の上だけにすべきだろう。
※女性セブン2019年12月19日号