新型コロナの感染拡大とともに再び脚光を浴び、この4月、国内での累計発行部数が100万部を超えた小説がある。ノーベル文学賞受賞作家、アルベール・カミュの小説『ペスト』(1947年発表)。突然降り注ぐ感染症という不条理な災厄に対して人々がどう立ち向かうかを描いた物語で、現代の新型コロナに苦しむ私たちと符合する点があまりにも多い。

 日本でも、明治期に活躍した歌人の正岡子規もやはり感染症である結核に苦しみ、そして死に至った。この病気で落命した文化人は石川啄木、樋口一葉、竹久夢二、中原中也など枚挙にいとまがない。

 このように、周期的に見舞われる感染症は、これまでも人類の持つ文明や生活に大きなインパクトを与えてきた。その影響を受けるのは、われわれ人間だけにとどまらない。

『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)の監修を務める動物学者で日本動物科学研究所所長の今泉忠明さんが話す。

「1億4000万年もの長い間、地球上に生息し、陸上で最も繁栄していた生物だったとされる恐竜も、一説にはウイルスによる伝染病で絶滅したといわれています」

 感染症の原因となる病原体には細菌やウイルスなどがあり、今回の感染症「COVID-19」は、「新型コロナウイルス」と呼ばれるウイルスが“犯人”だ。ウイルスの起源には諸説あるが、少なくとも30億年前には存在したと考えられている。それに比べ、最も古い猿人の登場はおよそ700万年前といわれ、人類の方がウイルスよりもはるかに“新参者”というわけだ。

 つまり、「コロナウイルスさえなければ」という恨み節は、地球上の生物の歴史から見直すと筋違いといえる。ウイルスのように私たちも変化し、共存していく姿勢が求められているのだ。

※女性セブン2020年5月21・28日号

関連記事

トピックス

大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜の罪で親類の女性が起訴された
「ペンをしっかり握って!」遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜……親戚の女がブラジルメディアインタビューに「私はモンスターではない」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン