彼自身が勉強する上で、オンライン通話アプリ「Zoom」を使って一風変わった勉強法を実践しているという。
「自宅で1人だと遊びの誘惑もあって勉強に集中できない、という生徒もいます。そこで自宅の勉強机の上で、勉強している手元だけをZoomで映し、大人数がアプリ上で一緒に勉強しているように感じられる『Zoom自習室』という取り組みをしています。パソコン画面にみんなの手元が映っているだけで、本当の自習室のようにみんなが集中している実感が湧くので、自分も集中しなきゃと思えます」(同前)
◆「小津安二郎の映画」が課題に
読書や映画鑑賞に取り組んだ生徒も多かった。麻布中学2年の生徒は、多ジャンルにわたる本を読破した。
「高嶋哲夫のパンデミック小説『首都感染』をはじめ、梶山三郎の経済小説『トヨトミの野望』『トヨトミの逆襲』、清武英利の『しんがり 山一証券 最期の12人』、末永幸歩の『13歳からのアート思考』、瀧本哲史の『ミライの授業』、楠木建の『ストーリーとしての競争戦略』、雫井脩介の『検察側の罪人』などをいずれも電子書籍で読みました」
開成高2年の生徒は、映画鑑賞の課題があったと話す。
「現代文の課題で、小津安二郎監督の映画『東京物語』を鑑賞して読解させるものが出ました。最初は白黒映画への抵抗もありましたが、今の映画作品とは違うなんとも言えない良さを感じました。これまで観ていなかったのが悔やまれます」
──ニュートンはペストによる大学休校期間を“創造的休暇”と呼んだとの逸話も残っている。いつか2020年春を振り返って、「あの外出自粛の日々が天才を育んだ」と評価される日が来るかもしれない。
※週刊ポスト2020年6月5日号