「風邪かな?」と思ったら、とりあえず「何にでも効きそう」という理由で総合感冒薬に手を伸ばす人は多い。だが、内科医の秋津壽男さんは、待ったをかける。
「総合感冒薬には熱や鼻炎、咳やのどの痛みを抑える成分がすべて入っています。カバーする範囲が広い半面、のむ必要のない成分まで含まれているのです」(秋津さん)
そのため病気の専門家である医師たちは、自分が風邪をひいてしまったときには、症状に合わせて市販薬の“使い分け”を実践している。特に多くの医師たちが頼っていたのは、漢方薬だった。内科医の近藤千種さんが言う。
「風邪のひき始めで少しゾクゾクするな、というときには『葛根湯』、寒気がして節々が痛いなど、インフルエンザに似た症状のときは『麻黄湯』をのんでいます」
消化器外科医の白畑敦さんは、風邪やインフルエンザだけでなく、コロナ対策としても漢方薬をのんでいるという。
「『補中益気湯』は中国のコロナウイルスガイドラインでも推奨されています。直接コロナを消滅させる作用があるわけではありませんが、免疫力をアップする効能があるので、かかりにくくなる。インフルエンザ対策としてのんでいる医師もけっこう多いですね。手術後など、体力が低下しているときには欠かせません」(白畑さん)
米ボストン在住の内科医・大西睦子さんも「風邪には漢方」と声をそろえる。
「総合感冒薬がうまく効かずにクリニックを受診する患者が多いですが、漢方をすすめると効果を実感しやすい人が多い。咳なら『麦門冬湯』、鼻水なら『小青竜湯』がよく効きます」
鼻炎薬では『アレグラFX』を推奨する声が多かった。
「花粉症などアレルギー性鼻炎薬。眠くなりにくいのでおすすめです」(麻酔科医の大西良佳さん)
病院の処方薬と同じ成分なので、効果も高いという。
※女性セブン2020年9月24日・10月1日号