東京・渋谷区に閑静な高級住宅街が広がる一角がある。その中でもひと際大きな低層マンションは、吹き抜けの中庭を囲むかたちで、家の中にいながら四季の移ろいを間近に愛でることができる。
その家で、竹内結子さん(享年40)は9月27日に自ら命を絶った。家族4人で囲んだ夕食を終え、ひとりで2階にある寝室へ。1階2階ともに100平方メートルをゆうに超えるメゾネットタイプの部屋だ。大きな吹き抜けを通じて、階下の子供たちの賑やかな声が耳に届いていたかもしれない。
数時間後、夫の中林大樹(35才)が変わり果てた彼女の姿を見つけたのは、ベッドルームに備わった3畳を超える広さのウオークインクローゼットの中でのことだった。午前1時57分に「妻がぐったりしている」と119番通報。警視庁渋谷署の警察官が駆けつけ、都内の病院に救急搬送されたが、そのまま帰らぬ人となった。
相次ぐ芸能人の自殺。ただ、竹内さんが三浦春馬さん(享年30)や芦名星さん(享年36)と異なるのは、家族と同居していたことだ。
「ひとり暮らしでなく遺書もない場合、時間をかけて捜査が行われることが多いのですが、今回は自殺と断定するまで、わずか数時間。最速での判断が下されたとみられています」(全国紙社会部記者)
元警視庁刑事の吉川祐二さんが解説する。
「自殺か他殺かの判断基準の1つは、遺書の有無です。亡くなったかたを病院に運んだ後、警察は現場で施錠状態の確認や、ご家族からの事情聴取のほか、遺書の確認を徹底的に行います。もし遺書がない場合は、遺体の情報から判断するしかありません」
通常、犯罪性があるかはっきりしない場合、遺体は検視官のもと、「検視」が行われる。その後、犯罪性がないと判断された場合、死因や亡くなってからの時間を判断する「検案」が行われ、それでも死因が判明しない場合は、「行政解剖」が行われる。竹内さんの遺体は搬送先の病院で死亡が確認された後、警視庁渋谷署に移された。その際の対応は、一般的なケースとは異なるものだったという。
「竹内さんは国民的な女優です。万が一経験の浅い警察官が“他殺の可能性も”などと言い出すと、大騒ぎになってしまうため、今回は所轄の渋谷署だけでなく、警視庁本庁にも連絡がいきました。捜査のトップといえる刑事部長自らが渋谷署に駆けつけ、徹底的な情報統制が敷かれた上で、素早く自殺だと断定されました。それだけ重大な事案だと判断されていたのです」(捜査関係者)
中林が通報した約6時間後に、メディアで「自殺か」と報じられ、さらにその6時間後の午後2時20分頃には、竹内さんの遺体を乗せた霊きゅう車が渋谷署から出発。自宅の前を通り過ぎ、葬儀が行われる斎場に安置された。